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2章:夜泣き峠
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2章:夜泣き峠
その峠は、『夜泣き峠』と呼ばれていた。
僕の住んでいる地域では有名な心霊スポットで、この峠の正式な名称は知らなくても、『夜泣き峠』と言えば、地元の人間なら誰でも知っているようだ。
その日の夜、十一時ごろ。僕は友人のKとSと三人で、その問題の峠に向かって車を走らせていた。
「県道って言うから覚悟してのにさー。中々いい道じゃねーか」
そう言ったのはKだ。確かに、元々は地元民でない僕は、この道を使ったことが無かったのだが、アスファルトも比較的新しく、ずっと二車線の道路は心霊スポットに続く山道としては拍子抜けするものだった。
「ユウレイ出るって聞いたから、どんだけ寂れた道なのか!ってドキドキワクワクしちゃってたのにさコッチはよ〜。あー残念だ。ザンネン。ザ・ン・ネ・ンだあ!」
「うわっ、馬鹿。やめろ」
横を見れば、Kが後部座席から、運転席のシートを掴んで揺らしている。
運転しているのはSだった。助手席には僕が座っている。
Sの父親の車だという軽自動車がフラフラ対向車線にはみ出す。対向車は無い。あったら死んでたかもしれない。
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