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16章:金を稼ぐということ
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職業に貴賤なしと言えど、声を大にして言える仕事ではないことくらいはわかっていたが、自らを屑と言い切るほどの自覚はなかった。
自分を正当化して、現実逃避していることを見透かされた気がして、居心地が悪かった。
喉がやたらに渇いて、薄まったアイスコーヒーを一気に飲み干した。
「そんな顔しないでよ。ムカついたらムカついたって言っていいのだよ。」
サクラさんは優しく微笑む。
その笑顔に、心が弛む。
どうしてだろう、サクラさんの言葉はいつも優しくはないけれど、私の心を揺さぶるのだ。
ボロボロと大粒の涙を流しはじめた私に動揺することもなく、サクラさんは不思議そうに見ていた。
「…私も、サクラさんみたいになりたい。」
自然と、その言葉が口をついて出た。
「…目指すとこ間違ってるよ。」
そんなつもりじゃなかったのにな、とサクラさんは呆れたように笑って、私にティッシュを渡してくれた。
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風俗嬢の肖像 ©著者:奈緒
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