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1章:捕獲
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まさかここまで許されると
思わなかった亜美は驚き、ディスプレイを見た。
(パカッ)
亜(…お母さんからだ…!)
(ピッ)
亜「もしもし…?」
母「もしもし、亜美?今どこ?
何時だと思ってるの?何してるの!
遅くなるならちゃんと」
(ジャキッ)
金属的な音に反応し、受話器を
耳に当てながら亜美は男を見た。
銃、らしきものを片手で構え、
悪魔の様な眼差しで亜美を見ている。
(分かってるよね)
その目は、そう言っていた。
亜美は戦慄し、全身から一瞬で
血の気が引くのを感じる。
そして鼓動も急加速した。
凍りついた亜美の耳元で、母は続ける。
母「ちょっと亜美?聞いてるの?
お父さんカンカンよ!?すぐ帰ってらっしゃい!」
亜「(ボソッ)…か、帰れないの…」
母「え、何ですって?よく聞こえないわ?」
亜「帰れないの…い、今……友達んちで…、
自転車…鍵、無くしちゃって…、
さが…探してたら遅くなって…
今日は泊まっていけば?って
言ってくれてるから……」
母「もー!しょうがないわね、
あなたって子は!心配するんだから
先に連絡なさい?ご迷惑に
ならないようにするのよ!?
お父さんにはちゃんと言っておくから」
亜「うん…うん…、ごめんなさい……」
(プツッ…)
男「巧い巧い、わかってんじゃん!」
亜「ほ…本物なんですか?ソレ……」
(パァ――――――ン!!!!)
(ビクッ)
細かなセメントの破片と
粉煙が飛び散り、壁には亀裂。
割れ目の中心が痛々しく窪んだ。
男「…分かったかな」
亜「……ハ…ィ………」
男「さ、それじゃそろそろおネムだね」
男は、先程のトイレの要領で
亜美の両手を封じ、両足を解いた。
男「おいで、寝室に案内したげる」
男は銃を片手に前を歩き、亜美をエスコートする。
寝室は廊下を行き、
先程のトイレの隣の部屋になる。
(カチャリ)
男「どーぞ」
亜「ハィ…」
通されたその部屋は思ったよりも
生活感があり、ごく普通のシングルベッドと
枕元のラックにスタンドライトが添えられていた。
男「あまり変な事は考えない方が
身の為だよ。じゃ、おやすみ」
男はそう言ってドアを閉め、
鍵を掛けて行ってしまった。
亜(…殺すつもりは……無いのかな…。
疲れた……寝よう…)
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