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11章:#.11
翌朝、起床した亜美はいつも通りダイニングで
一家三人テーブルを囲み、朝食をとっていた。
(カチャリ…カチャ…)
父「亜美」
亜「ハイ」
父「昨夜から母さんの陣痛の間隔が
いつもより頻繁になってきてな」
亜「えっ…?大丈夫なの…!?」
母「えぇ、大丈夫。心配しないで。
フフッ…お腹の中で早く産まれたいよー、
産まれたいよーって言ってるのかしらね!」
父「とはいえ、早産の可能性も見越して、
大事を取ろうと二人で相談してな。
ちょっと予定より早いが、
今日は早めに仕事を切り上げて、
管理入院の手続きと準備をしに行ってくる。
これから少しの間、ワシと二人で
家を守る事になるが、よろしく頼んだぞ?」
亜「うん…それはいいんだけど…
アタシも手伝える事は無い…?
学校帰りに何か買って来ようか…?」
母「入院に必要な物は、
もうとっくに準備出来てるわ?
亜美には、お産が済んで退院するまで
家事全般を任せる事になるから、
それが一番のお手伝いよ?
頼りにしてるから、
お父さんの分まで宜しくね?」
亜「うん…分かった」
朝の日課を終え、部屋に戻りメイクや
登校の準備を整えると、
今日も亜美は挨拶の為ゲーム機を立ち上げる。
(カチッ)
(ドキッ…)
牢屋の画面に移行し、くろの姿を見た亜美は
驚きのあまり静止した。
[ ……… ]
亜(何を…してるの…)
くろは、起きていた。
昨夜亜美と最後に会話を交わした時のまま、
本体の電源を落とした瞬間から、
まるで一晩中時間が止まっていたかの様に、
微動だにせぬまま変わらぬ位置と姿勢で、
じっ………とこちらを見つめていた。
[ くろ…おはよう… ]
[ ……… ]
[ どうしたの…?きのうは ]
[ ねむれなかった…? ]
[ ……… ]
.[ どうしてなにもいってくれないの…? ]
[ まだ アタシがひじりだって ]
[ うたがってるの…? ]
[ アタシは あみだよ…? ]
[ ……… ]
亜(…気持ち悪い…)
[ あの…がっこうにいってきます… ]
(プツッ)
亜美は、物言いたげな
くろの眼差しを浴びながら、
またも電源を切った。
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