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5章:#.5
(チュン……チュンチュン……)
翌朝、登校の準備を整えた亜美は、
くろの事が気掛かりで部屋を出る前に
ゲーム機を立ち上げ、もう一度
牢屋の中を覗いてみる。
[ スゥ……スゥ…… ]
亜(…昨夜は、泣き疲れて
寝ちゃったのかな…)
[ くろ…がっこうにいってきます… ]
[ スゥ……スゥ…… ]
亜(………。)
(プツッ)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(キーンコーンカーンコーン…キーンコーンカーンコーン…)
(カッカッカッ…カッカッカッカッカッカッ…カッ)
先「115ページを開けー。
今日から主語と動詞の一致。
集合名詞、複数形名詞と動詞を始めとする
各項目を抑えて行くからなー。
実力テストが終わって気が抜けてるとは思うが、
期末テストも言ってる間だから
気を引き締めて臨む様にー。
(…む、奈倉の奴…またボーッとしとるな…。
まぁ、アイツは話を聞いて無さげで
意外とちゃんと聞いとるみたいだし、
実際に結果は出しおるし、
あまり深くはつっ込まんが…大丈夫か?)」
先生が心配している事はつゆ知らず、
亜美はやはり昨夜の事で思いつめ、
授業中にも関わらず頬杖を突いて
窓の外に視線を向けていた。
亜(…昨日のアタシ…サイテーだ…。
まるでどうかしてた…。黒の気持ちも
考えないで軽率な発言ばかりして…。
聖の事を敢えて話す必要なんて
なかったのに…。あんなに取り乱して
嫉妬するなんて…思いもしなかった…。
黒…"浮気してた"って…"騙してた"って…
言ってた…。黒にとって、
勇者とお姫様の関係って…
まさかとは思ってたけど…本当に恋人同士の
関係を強く意識してたんだな…。
ううん、それどころか…黒の中では
もう完全にアタシは恋人そのものだったんだ…。
アタシ…違うだなんて必死に
弁明しようとしてたけど…、
黒にしてみれば、何も違わない…
立派な裏切りだよね…。一体、
どれだけ心を深く傷付けたんだろう…。
あぁ…アタシ、嫌な女だな…)
千「亜美…?大丈夫…?」
重くのし掛かる自己嫌悪に苛まれながら
頭を抱える亜美に、後ろから
千夏が声をかける。
亜(アタシにとっては…たかがゲームの中の
架空のキャラクターだったとしても…、
黒にとっては…アタシだけが
心のよりどころで…それが
現実以外の何物でも無いのに…)
千「…ちょっと!亜美ってば、聞いてる!?」
亜「…ハッ…!?え、あっ…!?」
千「え、あっ…じゃないわよ…。
完全に上の空になっちゃって…」
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