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16章:罠
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メールはアヤカからだ。いや正確には竜次からだ。
菊水は、
今、後ろにいるよ
車に向かって歩いてるよ
と書いてあるメールを見て笑顔になる。
車の中から後ろを振り返ってアヤカを探している。
ちょうどその時、後ろから車に向かって歩いてくる一人の女性がいた。
「おっ、来た来た、アヤカだ!あんなミニスカート履いて出かけたんだ。いいじゃん!いいじゃん!」
菊水は車に向かって歩いている女性をアヤカだと思い見つめている。
エロい気分が高まり無意識で菊水の右手は股関を触っていた。
前方からは、竜次の嘘の通報を受け近くの交番の二人の警察官が自転車で急いで車に近づいてきていた。
菊水は全く気がつかず後ろの女性を見つめている。
女性が近づいてくる。
顔はまだはっきり認識できないでいる。
「あれっ、髪あんなに長かったかな」
菊水は後方の女性を見ることに全神経が集中している。
右手は自分の股間を握ったりさすったりしている。
しかし、菊水は前方から来る警察官に全く気がついていない。
運転席から体をひねらせ後ろから来る女性をひたすら見つめ続けていた。
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