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14章:シャブの魔力
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菊水は東京へ戻りたいという気持ちが日増しに強くなっていた。
しかし、いきなり戻ったところで住む家がない。
仕事も決まっていない。
アパートでもマンションでも部屋を借りるにはある程度まとまった金が必要だ。
今は金もなかった。
肉体労働のやる気も失せてきていたが、日給月給の菊水は働かないと金にならない。
菊水は今日も仕事に行き働いていた。
職場では生産台数が増え菊水の部品運びの仕事の量が今までの二倍近くもあった。
以前は部品の量が多い時は誰かが手伝いに来てくれていた。
しかし今日は誰一人手伝いになどこない。
菊水は休憩時間中も一人で黙々と働いていた。
時がたてばいつかはわかってくれて職場の人達と又仲良くなれると思っていたのだが、いまだに孤立した状態が続いてしまっている。
就業時間が過ぎてもまだ仕事が残っていた。
菊水は一人で汗をびっしょりかいて残業をしていた。
仕事が終わった連中の話し声が遠くから聞こえてくる。
楽しそうな話し声や笑い声が聞こえてくる。
着替えて帰る奴もいる。
こうなるといつも以上に孤独を感じてしまう。
菊水はこの仕事が苦痛で本当に嫌になってきていた。
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