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12章:断薬生活
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菊水はある一つの決意を固め大きな決断をし実行していた。
断薬を誓った。断薬を宣言した。
それをやりとげる為にどうすればいいか、菊水なりに真剣に考えた。
菊水が考えぬいて悩みぬいて出した結論は、しばらく東京を離れ知り合いもいない全く知らない土地で働き生活しようと決めたのだ。
ついこの間までの菊水は落ち込み、悩み苦しみ、考え込んでいるばかりだった。
薬に手を出した事を後悔し、仕事を失い悩み、ルシアに彼氏ができた事で落ち込み、アヤカに翻弄され考え込み、一ヶ月以上も引きこもっていた自分自身に喝を入れ腹をくくったのだ。
自分が撒いた種だ。
薬に手をだした自分が悪い、
すべて清算したつもりで一から出直そう。
そう考えたら気持ちが楽になり元気が出てきたのだ。
その考えを決めてからは行動が早かった。
新聞広告の求人欄を見て電話をし面接を受け仕事を決めた。
目黒の部屋も引き払い車も売った。
そして東京から新幹線に乗りさらにローカル線に乗り継ぎ、菊水は初めて訪れる小さな田舎町に来ていた。
菊水は、アヤカにもルシアにも川島にも誰にも告げず東京を離れていたのだった。
しばらくはこの町で生活する。
明日からはこの町で働く。
菊水はなんと肉体労働の仕事を選んでいた。
仕事はブルドーザーやクレーン車などの重機特殊車両の部品を製造している工場で、下請けのその又下請けの小さな工場で設備もあまり整っていない所らしい。
仕事はきつくてすぐ辞めてしまう人が多いとも聞かされていた。
菊水は自分を戒める意味も有りその仕事をやろうとしている。
菊水は敢えて自分を追い込んでいたのだ。
菊水は本気で薬を断ち切ろうとしていた。
寝泊まりする所は寮だ。寮といっても六畳一間の古いボロアパートを寮として使っているだけだった。
菊水の見知らぬ土地での断薬生活が始まった。
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