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2章:漬ける女
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アヤカは注射器の押し棒を引き抜いた。
ポンと音がする。
「うーん、いい音。ワクワクしちゃう」
アヤカはやたらとご機嫌だ。
オレンジ色のキャップの注射器の中に半透明な結晶を少しずつ入れていく。
「菊水っちゃん、どの位いっちゃう?炙りで結構な量入れてるからこの位いけんじゃない」
オレペンのメモリ10までギュウギュウに詰めた。
オレペンとはオレンジ色のキャップの注射器の俗称だ。
メモリ10は炙りの経験があったとしても、静脈注射初体験の人間にはかなり多い量だ。
ミネラルウォーターのペットボトルのキャップに入れた水をゆっくりと引き覚せい剤を注射器の中で溶かす。
そしてライトに注射器をかざして溶け具合を確認する。
指で注射器をパチパチ弾いている。
その様子を菊水はじっと見ていた。
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