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20章:京ー月光 (1/18)

20章:京ー月光

月は湖に映り反射し、湖面に一筋の道を作っていた。

神々しいまでに美しい光景だった。


「京……月の道だ」


「うん……」



ーーーーーー


〜あの頃〜


人を信ずることは人を救ふ。
かなり不良性のあったわたくしを


智恵子は頭から信じてかかった。


いきなり内懐に飛びこまれて
わたくしは自分の不良性を失った。


わたくし自身も知らない何ものかが


こんな自分の中にあることを知らされて
わたくしはたじろいた。


少しめんくらって立ちなほり、
智恵子のまじめな純粋な
息をもつかない肉薄に
或日はっと気がついた。


わたくしの眼から珍しい涙がながれ、


わたくしはあらためて智恵子に向った。


智恵子はにこやかにわたくしを迎へ、
その清浄な甘い香りでわたくしを包んだ。


わたくしはその甘美に酔つて一切を忘れた。


わたくしの猛獣性をさへ物ともしない
この天の族なる一女性の不可思議力に


無頼のわたくしは初めて自己の位置を知った。




※高村光太郎
詩人・画家・彫刻家
1883年- 1956年
「智恵子抄」より

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愛ヲ乞ウーー遺された心 ©著者:七斗

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