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17章:哀歌 (1/26)

17章:哀歌

「え、募金は、その男性のしたことの為なんですか?……丸さん……その、自分に似ている男性って……今、どこに居るんですか?」



「真子ママの心の中におる。もう一生逢えないがな……」



ーーーーーー


〜レモン哀歌〜
                     

そんなにもあなたはレモンを待ってゐた


かなしく白いあかるい死の床で
私の手からとった一つのレモンを


あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ


トパアズいろの香気が立つ
その数滴の天のものなるレモンの汁は


ぱっとあなたの意識を正常にした


あなたの青く澄んだ眼がかすかに笑ふ


わたしの手を握るあなたの力の健康さよ


あなたの咽喉に嵐はあるが
かういふ命の瀬戸ぎはに
智恵子はもとの智恵子となり
生涯の愛を一瞬にかたむけた


それからひと時
昔 山巓でしたやうな深呼吸を一つして


あなたの機関ははそれなり止まった


写真の前に挿した桜の花かげに
すずしく光るレモンを今日も置かう


                           
※高村光太郎
詩人・画家・彫刻家
1883年- 1956年
「智恵子抄」より

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愛ヲ乞ウーー遺された心 ©著者:七斗

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