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8章:玲奈ー慟哭(どうこく)
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貴章は上着を郁子に持たせて、ワイシャツを脱いだ。
「郁子の洗濯したの出して」
「こんな、外で着替えたら寒いよ〜」
郁子からシャツを受け取り、玲奈の口紅が着いたシャツをコンビニのごみ箱に捨てた。
(玲奈は獲物を狙う虎だ……)
今まで朧げに考えていたことが確信に変わった。
◇◇◇
元旦になったばかりの神社は、参拝の人混みで混雑している。
並んでなんとか小銭を本殿の賽銭箱に投げ込み、一年の無事を祈願した。
郁子と境内外の屋台でおでんをつつく。
「看護師の学校は申し込んだの?」
おでんを頬ばる郁子の髪を耳にかけてやりながら聞いた。
「うん。資格は欲しい。手に職を持ちたいの」
「俺も4月には部屋借りるように準備しているから、協力するよ」
「嬉しい……」
「年明けからは、運送屋の就職活動するよ。大型免許取得まで、後少しなんだ」
「わぁ! 夢に近づいてくるね!」
夢……今度こそ叶えよう。小さな幸せを郁子と。
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愛ヲ乞ウーー遺された心 ©著者:七斗
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