6章:沙也加の理由(わけ) (2/18)

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気が付いたら、あっという間に27歳になっていた。


ーー実家に帰る度に、口さがない親戚達が『結婚をしないのか』『結婚はまだか』と、私の気持ちなどお構い無しに煩く急かす。


ーー私だってそのつもりだったんだ。


彼は、私より数段上の国立大学を出ている。あっという間に出世コースに乗り、本店に移動になった。他意が無いのはわかっている。仕事が無二に好きなのだ。


……男と女では、結婚を意識する年齢が3歳ずれるという。

同い年の彼は、後3年待ってくれと言った。


3年立てば、私は30歳になる。30になった私と結婚してくれる確約はあるのか。私は彼を責めた。


「沙也加だって、仕事の才能があるじゃないか。女性で主任テラーに昇格はすごいよ！ お互いに今は仕事を頑張ろう」


男は……子どもを産み、育てる年齢を考慮しない。


私はーー30歳までに子どもが欲しかったのだ。