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4章:夢の扉
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※※※※※※
「なぁに? 気持ち悪い。にやにやして。テレビ観てないの?」
そのまま、沙也加のマンションに寄った。手作りの煮物が上手い。心地良い気分に浸っていた。
彼女が俺の肩に頭を寄せて甘えてくる。抱き寄せて微かにキスをした。
「悪りぃ。ちょっと今日、嬉しいことがあってさーー俺、甲子園に行けるかも」
「何それ? 仕事で西宮に行くとか?」
「ちげーよ。ま、気にするな」
「気になる! なぁに? どうして嬉しいの?」
「なんでも」
沙也加が口を尖らせた。
「あっ、後ろめたいんだ。いけないんだ!」
石油ストーブがちらちらと紅い炎を瞬かせている。そのまま強く抱いて、今度は長く唇を吸う。
「沙也加……俺、心を入れ替えて一生懸命働くわ。で、な」
「急にどうしたの?」
「……金が溜まったら、結婚を考えてくれるか?」
「えっ?!」
沙也加の顔が明るく輝いた。みるみる内に、綺麗な瞳に涙が溜まる。
「本当に? 嬉しい……」
ーー俺は勇気を出して、
“夢の扉”を開いた。
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逃亡犯ー黎明(前編) ©著者:七斗
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