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3章:3 (5/5)

「ふう…」
バスタブに浸かりながら一日を振り返る。

初めての新宿で迷ってしまった事。
仕事が決まった事。
そして…

「凛さん…かぁ」

思わず声に出してしまった。
良い人だったなあ…
あんなに格好良くて良い人がいるなんて、さすが東京。
なんて考え事をしながら長い間入ってしまったのか、頭がぼおっとしてくる。
顔が赤いのは、のぼせたからだよね…?

「あ、お母さんに電話しようっと!」
お風呂から上がるとバスタオルを体に巻いただけの状態で、スマートフォンを手に取る。

「もしもし?由梨ちゃんどうしたの?」

つい3日前まで一緒に住んでいた母の声なのに、すごく懐かしい。

「お母さん私、お仕事決まったよ!」
「あらー。凄いじゃない。どんなお仕事するの?」
「クラブで働くことになったよ。」
「クラブ…?」

お母さんが怪訝な声を出した。

「うん。多分踊ったりする所だよ!キッチンで働くんだぁ。」
「ああ、なるほどね。クラブって言うから水商売するのかと思っちゃったわー。」

うふふ。とお母さんが笑っいた。

「水商売?ってなあに?」
「そうよねえ。由梨ちゃんには縁遠い世界だもの。自分から行くわけないわよねぇ。」
「???お母さん。良くわからないよ?」
「ああ、いいのいいの。頑張りなさいね。」
「うん!また連絡する。」

そう言って電話を切った後、私はベッドに入った。

明日は初出勤だから、頑張らなきゃ…。
迷わないようにしないと…
そう考えながら、私は眠りに落ちて行った。
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体温の熱量 ©著者:シンドバット

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