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11章:姉との喧嘩
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11章:姉との喧嘩
自由を手に入れた私は、毎日を満喫していた。
小学生らしい、はつらつとした明るさを手に入れた。放課後、友達と遊ぶ前に一度ランドセルを置きに帰る。誰も居ない一軒家。
その時ばかりはなんとも言えぬ寂しさを感じ、毎日冷凍庫にあるアイスクリームをたらふく食べて、寂しさを紛らわせた。想えばこの頃から寂しさを埋めるための過食は始まっていた。
母はそんな私を怒る事もなく、毎日アイスクリームを買い足した。そんな生活を三ヶ月続ける内に、私は少しずつ太っていった。
学園では栄養からカロリーまで計算された食生活をしていたのだから当たり前だ。
母は保険の外交の仕事で忙しかったし、料理が苦手で私たちは外食ばかりの日々だった。
夏休みを目前にしたある日、母の居ない家で私と姉は初めての兄弟喧嘩をした。姉は相当頭に来ていた様で、とんでもない暴露をして私に反撃した。
『あんたなんか本当の妹じゃないんだからねっ』
なんだかとんでもない事を言われ、小学二年生の私は打ちのめされた。
後に母に事実を確認した所、一人目の父親の子が姉であり、二人目の父親の子供が私だと、大したことじゃないでしょ。と言ってのけた。もう少し真剣に話してほしかった。まぁ、確かに大したことではないが。
新しい学校での一学期が終わり、夏休みを迎えた。
唐突に母から引っ越しを告げられる。
『お姉ちゃんが学校でイジメにあっているから、市内に引っ越す事になったから』
せっかく友達も出来たのに。母はいつも突然だ。
かくして私はまたもお別れの言葉も言えぬまま、転校する事となった。
私は母のペースについていけなかった。私に相談なんかしない、それが母だ。
この頃、私は母から施設から私たちを引き取った理由を聞いていた。
『お姉ちゃんが、施設にいるのはもう耐えられないって言われたから引き取ることにしたの。』
それを聞いて私は頭に来た。お姉ちゃんのワガママで私も施設を離れなくちゃいけなくなったんだ。
今回の転校もお姉ちゃんのワガママを聞いて私まで転校するのだ。お母さんは、お姉ちゃんのワガママばかりきいてズルい。
今考えると、どうしようもない妹だ。結局、自分より姉のワガママをきく母が許せなかったのだ。
姉に負けたくない。
私の母親への独占欲は強まる一方だった。
もう、施設にいた頃の謙虚な私はいなかった。
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