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9章:母からの約束事 (1/1)

9章:母からの約束事

守田のオジサンは、先に車に乗っていると言い、部屋を出ていった。

私は戸惑いながら、姉の顔を伺った。
お姉ちゃんと呼んだ事もなかったが、同じ環境で過ごしてきた、私より六歳年上の姉だけが頼りだった。

姉は表情も変えずに黙って立ち尽くしていた。
私も真似した。

姉は年の割に大人びていた、学園でも皆にそう言われていた。
その無表情で寡黙な態度は高校まで続く事になる。

そんな私達の態度も気にせず母が口を開く。
『ネコもハナ(姉)も、今日から学園の事は忘れなさい。あそこにいた事は絶対に誰にも話したらいけないよ。』
私は頭の中が?だったが、母に急かされ、守田のオジサンの車へと急いだ。

四人でレストランで食事をして、帰りの車中でのこと。
守田のオジサンは、レストランからずっと私達姉妹に話し掛けていた。
姉は例によってだんまり。
幼い私が無邪気に振るわねば、と一生懸命お話をした。
我ながら滑稽だったが、ひょうきんに振る舞う事は、今後も私の役割となる。
そうすれば、母も上機嫌に笑うから。

すっかりおしゃべりキャラになった私は、後部座席から身を乗り出して、運転するオジサンに『あのね〜、このまえ学園でね、』と話し掛けた。
その時、お尻がピリッと痛んだ。
ハッとして隣を見ると、母が私のお尻を思い切りつねっていた。
すごい目で私を見ていた。瞬間私は気付いた。
『学園の話をしようとしてしまった』と。

あの時の母の顔は忘れられない。
姉は母の行動に気付いただろうか?
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私が精神障害者になるまで ©著者:ネコ

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