7章:Op.②-6 最終章 それぞれの居場所 (2/6)

※※※※※※


「……私ハ自分ノ居場所ガ欲シカッタノデス」



ーー新が舞台で急死してから一週間。


当初は心筋梗塞と発表されたのだが、綿密な検死にて、微量ではあるが、毒物アルカロイド系のコニインが検出された。


マスコミを避け、秘密裏に殺人事件として捜査は開始される。


とにかく、次世代を担う歌舞伎界のホープが襲名披露の舞台で事切れた。


興業界は言うに及ばず、関係各位やマスコミ、世間をも上へ下への大騒動となった。


警察は、すぐに美希の差し入れる弁当にたどり着き、任意同行を求める。


美希は素直に取り調べに応じた。


「私ハ、都合ノ良イ女デ良カッタノデス。デモソレヲ、新サンハ許シテクレマセンデシタ」


新に“二の位置”さえ否定され、すべてを裏切られたと誤解した美希は、何かに取り付かれたかのように復讐の化身となった。


薬学部に通っていた知識を活かして、一年間、弁当に少量の毒物を混入し続けたのだ。