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1章:★Op.① 【夕暮れのおとぎ話】 (2/20)

ーー今日は飛鳥(あすか)の一周忌だ。


捜査二課の上司である、西(にし)に二日間の休暇を申請し、山崎裕二(やまざき ゆうじ)は関西に在る飛鳥の菩提寺に車で向かった。


住職に挨拶をし、花と線香を手向ける。まだ新しい、白御影石の墓石。


目をつむり、手を合わせると裕二の愛したあの笑顔が浮かぶ。


(いつまでも、ここに居座っていても仕方無いのだが……)


それでもその場を離れられず、住職が見兼ねて、本堂でお茶を煎れてくれた。


「静かなお嬢さんやったね」

「はい」


「そないに長い時間、お参りしてもろたら、飛鳥はんも照れ臭いやろ」

「そうですかね」


「もうな、“よその世界”で静かに暮らしてはるんや。思い出は、山崎はんの胸にしもうて。新しく立っていかんと、飛鳥はんも心配でしゃあないですわ」


「はぁ。重々それは承知しているのですが……」

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