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3章:水の中
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3章:水の中
明日は何があってもやってくる。
とても長い昨日1日を過ごし、目覚ましの音と共に私は新しい今日を迎えた。
出来れば起きたくない。
家族は私が勤めていた会社が倒産した事実を知らない。
そして。
私は事実を家族に打ち明ける勇気がまだ持てないでいた。
ばれるのに、どうせ…。
朝からモヤモヤした気分のまま、今まで通りの私を演じた。
朝食のトーストをかじり、熱いコーヒーで流し込む。
歯を磨き、自分の部屋に戻り化粧をして、スーツに着替えた。
機械だよな、私。
そう思いながらも表面上は何の変化も無いように行動した。
「行ってきます。」
私は何処に行けば良いのだろう。
家族は私のいつもの様子に何の疑問も持たなかった。
玄関のドアを開けると、世間の人達は慌ただしく駅へと歩いていた。
今さら引き返せないので、私もその流れに従った。
街は柔らかな春のような日差しに包まれていた。
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