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56章:新境地 (1/8)

56章:新境地

私は店を辞めた次の日の夜から、新しいお店で働き出した。


面接の時に思ったのだが、その店のママは顔は綺麗だけどがらっぱちという感じだ…



初出勤でやや緊張しながらドアを開けた…

カラオケが聞こえてくる…


既にお客様が居るのかと思い少し慌てた…


私「おはようございます…」


ママ「おはよう!」

女の子「おはようございます」



ママがカウンターに座ってカラオケを歌っていた。


女の子は一人だけだ…



ママ「優香!今日からの琴美ちゃんね」


優香ちゃん「はい。宜しくお願いします」



私「琴美です。宜しくお願いします」



ママ「客もまだ居ないから、軽く説明するね」


テーブル番号や伝票の書き方等教わった。



店内はテーブルがコの字に置いてあり、フロアは広く感じるが、今まで居たお店の半分ぐらいの大きさだ…



ママ「客入るまで暇だから琴美ちゃんも何か歌いなよ」



デンモク(カラオケのリモコン)を渡された。



私は何となく違和感を感じていた…


それが何かママの次の言葉で気づいた…

ママ「琴美ちゃん、今日客来る予定ある?」


さっきからお客様の事を『客』と言っていたのだ…



私の違和感の原因はこれだった…



けしていい子ぶる訳ではないが、『客』という言い方は好ましくない…


でも私は新参者だし、初出勤の日にそれをどうこう言う権利は無い。


ママにはママの、この店にはこの店のカラーがある。


私はママの質問に答えた。



私「はい、二組来る予定です…」



ママ「素敵ぃ〜♪」


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軌跡 ©著者:コロン

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