その日一日やっとの思いで仕事を終え、タイムカードを押し、ロッカールームで一息ついた…

〈帰ろう…〉

従業員通用口を出た所に、男の人が立っていた。

通り過ぎる時に肩を掴まれた…


私「何ですか！」

石田さん「俺だよ、石田！」


私服を見るのは初めてだし、帽子を被ってないから分からなかった…

ハッキリ見た顔はキリっとした目元が印象強かった…


私「お疲れ様でした」

石田さん「ちょっと時間ある？」

私「何ですか？保育園のお迎えがあるのであまりないです…」


石田さん「じゃあ歩きながらでいいよ」

私「…」


石田さん「何でそんな顔してんだよ…旦那にやられたの？」

私「よくある夫婦喧嘩の延長だから…」

石田さん「どうしてそんな奴と一緒にいんだよ…」


〈何この人…〉


そのまま無言で歩いて駅に着いた。

私がペコッと頭を下げて行こうしたら

石田さん「駅何処まで？」

私「切符買う気？」

石田さん「だってまだ話し終わってないから」


〈嘘でしょ…〉


私「ちょっと待って下さい。今保育園に電話して延長保育頼んでみます」


いくら何でも電車に乗って一緒に行こうとするなんて、よっぽど何かあるんだと思ったので、私は保育園に延長保育をお願いして、石田さんの話しを聞く事にした…