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6章:本当の自分
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最低な野郎だ。
知抄をこんな目に…。
最低な野郎?
それは以前の俺も同じじゃないか!
散々いいように知抄を性欲の捌け口にした。
ゴムも着けずに妊娠させて、挙げ句の果てにはうまく勇馬のせいにして、逃げた。
知抄が俺を裏切ってなんかいないことはわかっていた。
放課後も休みの日も、毎日知抄と一緒だった。
俺が帰ってから勇馬と会うなんて…さすがにその時間からは知抄の両親も反対するだろう。
知抄は見た目は少し派手な感じだけど、中身は一途で真面目だった。
それなのに俺は…。
あの時の、俺と知抄の子供は、産まれて来ることなく、過去に消されてしまったのか。
『う…うう…』
俺は堪えきれず、涙を流した。
止めどなく、涙が溢れて来る。
『ごめん…なさい…うう…ごめんなさい…』
俺は醜い顔をぐしゃぐしゃにして泣いた。
知抄は、慌てて自分の涙を拭う。
『どうしたの?シュウトくん…もらい泣き?』
『俺も謝罪しなくちゃならない人がいる。もう二度と、謝罪すら出来ないのに!』
俺は目を擦った。
『シュウトくん…』
知抄は俺の肩に手を置く。
『俺は最低な人間なんだ。人を傷付けて平気な顔して…生きてる価値なんかないんだ!』
『シュウトくん…』
『もう会うことも出来ない。償いも出来ない…』
今度は知抄が黙って聞いている。
『俺は顔も性格も醜い人間なんだよ…』
『シュウトくんは優しいし、醜くなんてないよ』
俺は知抄の顔も見れずに続けた。
『前に知抄…ちゃん…にいきなり話し掛けたりして、キモい奴だろう?』
『あのね…知抄、あの後思い出したんだけど…中等部に入ってすぐに、一度だけシュウトくんに話し掛けたことがあったの。内容は忘れちゃったけど。だから、それで何か言おうとしてくれたんだと思ってた』
そうだったんだ…?
全然覚えてなかった…。
『俺は…』
また涙が溢れた。
『生まれ変わったら、絶対にその人を傷付けない…大事にしたい!でも…もう遅いんだ…』
俺はまた泣き出した。
『本当に…ごめんなさい…ごめんなさい…知…』
俺は意識が薄れていった。
知抄の声が聞こえる。
『シュウトくん?』
『シュウトくん…』
『シュウちゃん…』
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嗚呼ブサメン人生 ©著者:紅葉
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