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6章:氾濫する月光
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濃密な時間が過ぎ、空気が少しずつ冷えていく
拓馬の腕にゆだねられたミドリの汗ばんだ肌もひんやりとした感触になり、激しかった息づかいも静かになっていった
いい匂いのする柔らかいミドリの身体をそっと押しのけて拓馬は階下の厨房に降り、ミネラルウオーターのペットボトルを2本持って寝室へとまた上がる
部屋に入るとベッドの上に座り込んだミドリが物憂げな表情で髪を弄っていた
拓馬がペットボトルを渡すと
「うん…ありがと…」
と受け取り、キャップを開けてひと口、こくりと飲み込む
そしてもうひと口含むと、拓馬の首に手を伸ばして寄せ、唇を重ね、口移しでするすると甘露を拓馬の喉に流し込んだ
ミドリの唇が離れると、拓馬は、つと顔を背け、ひとつ溜め息をつく
「…いつもながら拓馬のその表情はいいね」
大きな瞳を横目に走らせ、ミドリが意地悪げに言う
「どんな…表情だって言うんだよ」
不機嫌に拓馬が言い返すと
「『ミドリとまたやってしまった』って表情…後ろめたさ…自己嫌悪…僕がすごく悪いことしたみたい…」
「そんなこと…」
咄嗟に口を開いた拓馬だが、溜め息を漏らしたのは事実だ
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浮遊する言霊 ©著者:黒蝶少年
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