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8章:①-8 最終章 Ⅱ (14/14)

『MiriPhoneは程なく、警察の手によって調べられます。その前に私は消えることに致しましょう。しかし最後にあなたにお伝えしなければならない事が、たくさんあります』


病院に到着し、祐二がストレッチャーと伴走する。手術室に搬送される間もMiriは語りかけた。


『ユウジさん。シェイクスピアの戯曲[ロミオとジュリエット]を知っていますか?
What's in a name? that which we call a rose.By any other name would smell as sweet.
(名前には、何があるというの?私たちがバラと呼ぶものは、他のどんな名前で呼んでも、同じように甘く香るわ)

ユウジさん。ひとを愛するのに名前や身分や過去は関係あるでしょうか。アスカは、全身全霊を懸けてあなたを愛したのです。アスカの愛を理解してください』


何名もの医師と看護師がストレッチャーと共に手術室に消えて行く。


『ユウジさん。今から、私がアスカに代わって彼女の物語を、長い長い抒情詩を、あなたにお伝え致します』



祐二は手術室前のベンチに頭を抱えて座り込み、Miriの言葉に耳を傾けた。どう声をかけても動けない祐二に、西が全てを取り仕切っている。


涙が止めどもなく押し寄せ、床が静かに濡れる。


どのくらいの時間が経ったのか
ーーMiriの語りが終わりに近づいた。


イヤホンの音が途切れーー後には沈黙の世界が残り……



ふっ、と。

[手術中]のランプが消えて、手術着をまとったまま、医師が自動ドアから現れた。

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白いスーツの妖精〜Miri再び ©著者:七斗

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