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6章:①-6 Macbeth(マクベス)
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◇◇◇
飛鳥は、つきまとう傷みを……なんとか気持ちで支え、ようやく仕事を終えた。
英二にマンションまで送らせる。
黙って車を降りる飛鳥の右腕を、力任せに掴んで引き寄せた。
両手で、飛鳥の頭を潰しかねない力でくるみ、獰猛に唇を奪う。
英二の眼が熱くなり、ブラウスのボタンを右手でこじ開けて、冷んやりとした胸に舌を這わせた。
「ーー英二、かんにんして。体調が悪いねん」
ふっと力が弱まり縛りが和らぐ。
「……ん。顔色悪いもんな。解った。早く休め」
するりと腕から抜けて、逃げる様に車から去る飛鳥に、もう一度挑みかける左手を、なんとか抑えて見送った。
(もう、俺。自分の気持ちが怖い。そんくらいお前を……不器用なのは充分解ってる。でもこんな風にしか表現できねぇ……どこにも行かせねぇぞ)
だん……!
拳で殴られたハンドルがしなり、飛鳥の代わりにきつく、強く握られた。
「お前は一体!ーー俺を通り越して誰を見てんだよ?!」
握りしめた皮カバーがぎりぎりと鳴り、胸に湧いた疑いは塊となって英二をなぶる。
そして例えようの無い陰鬱(いんうつ)な嫉妬がーーじわじわと、身体の奥深くに喰らいついていくのだった。
(苦しい……苦しいんだ。飛鳥)
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白いスーツの妖精〜Miri再び ©著者:七斗
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