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9章:ASTARA〜アスタラ (2/13)

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明けて月曜日。

聖が元気に出社し、彩香は胸がときめいた。それなのにMiriからは、未だ何の報告も無い。


やっと昼休みになり、資材置き場でMiriを立ち上げる。


ポポン!

『アヤカ、ご用件はなんでしょう』

「聖が今日から無事に復帰して嬉しいけど、何の進展も無いじゃない。どうなってるの?」

それでなくても全てから踏みにじられた、行き所の無い痛みが彩香を蝕んでいるのに。

(どうして理解してくれないの……)


「調べてと――お願いしていたことは?」

『はい、全てを詳細に整理するにはまだ情報が少ないのですが、ようやく事実がつかめそうです』

「……本当に? 何が解ったの?」


『その前にアヤカ、他にご要望はありますか?』

自然と眉根が寄ったーーMiriとの間に生じた針の先程のほころびは、先に行けば行く程広がってしまう。

けれど頼りはMiriしか無いのだ……ただ、的確に指示を出す自信が無い。


(……そうだ。ざっくりと、大きな願いをぶつけてみよう。そこから細かく修正していけば良い)


彩香は焦っていたのだ。

「何でもお望み通りなんだよね? ――例えば、聖と結婚させてと言ったら?」


マイクを囲む紫の光が、いつもより長く回転している。


ポポン!


『アヤカ、そのお望みは叶えられません』

Miriが拒否をしたのは初めてだ。

「え、どうして? いつも何とかしてくれたじゃない」


『タカラさんは既に結婚しました。検索致しましたが、日本の法律では、現在結婚している人とは重ねて結婚が出来ないようですね?』

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