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7章:Fairness 〜 公平さ (3/20)

◇◇◇

同時刻、聖は現場の詰所で弁当を食べていた。

昼休みに行われる各業者の職長会議が終わり、親方が戻って来る。


「聖、オペさんに無線合図頼むな」

「はい」

図面を田之倉組5人で確認した。
聖が、タワークレーンのオペレーターに鉄骨や梁の吊り荷合図をする。


「ちょっと午後から風が出てくるみたいだから、安全確認はいつもより慎重にな」

「わかりました」


架設エレベーターに乗って、33階の最上階に向かった。確かに午前中より風が出ていた。


安全帯を掛ける親綱や部材の置き位置を確認し、午後の作業が始まる。


聖の無線合図で20M級の梁を、クレーンで吊り上げて設置する作業が開始。


「チョイチョイ スラー」(吊り荷をゆっくり降ろす)聖が手首を廻し、言葉と合図で慎重に場所を決めようとした時ーー


クレーンが唐突に急旋回をして、吊り荷がビル風に捕まった。

振り子の様に梁が回り、一瞬の内に制御不能になる。


「危ねえぞっ!!」


聖は周りの職人達に叫ぶが、もう鉄の塊が目の前に迫っていた。

すぐ側の鉄骨にしがみつき、何とか避けたが、梁の端が微かに聖の頬をかすった。


例えようも無い鈍痛が襲い、火薬が顔面で炸裂したーー衝撃を受けてのけ反る……(う、やべぇーー)


「大丈夫かッ! おいッ!!――」


親方が、鉄骨を伝って飛んで来る姿が……朦朧と霞んだ……


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