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10章:母さんと私
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10章:母さんと私
母さんの躾は厳しかった。でも愛情も注いでくれた。 今思うと厳しく躾なければ、間に合わないほどに私達は他の子供より劣っていた…ルールなんてわかっていなかった、良いことも、悪いことも。勉強も、なにもかも。 ある時、遠足のバス代を使い込んだことがあった。すごく怒られたし、叩かれた。母さんは怒った後、泣きながら私を抱き締めて教えてくれた、お金はたいせつなこと、決まりは守らなければ家族皆が困ること。 そのあとも何かを怒られることは度々あったけど、何で怒られたのかは覚えていない。体を使う仕事をしていた父さんは、いつもシャツが汗だらけで、絞れるほどだった。ある日怒りながら、母さんは私にそのシャツを被せたことがあった。その時も泣きながら、父さんはこんなになるほど働いて家族のために頑張っていることを教えてくれた。今思うと本当に申し訳なく思う。 そんな風に母さんとの生活は過ぎて行った。大切なことを一つ一つ学びながら…。
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