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15章:父さんが出ていった
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15章:父さんが出ていった
仕事が一段落したんだと思う。父さんは家にいた、いつからいたのか記憶にない。産んだ人が唐揚げをこがしたのを、父さんは気にせずうまいと食べていた。固くてやたら大きな唐揚げだけど、父さんは文句もいわず食べていた。 家にいるとき、父さんはよく体を鍛えていた。私を背中に乗せて腕立て伏せをしたのを覚えている。 ある日、父さんと産んだ人は喧嘩をしていた。今まで見たことのないくらいの喧嘩。子供ながらに、緊張とドキドキが止まらなかったのが記憶にある。 父さんが私に「母さんにごめんて伝えて」と言ったので、私はそのまま伝えた。でも産んだ人はなにやら怒鳴りちらした。 それが聞こえたのだろう。父さんはカバン1つだけ持って出ていった。 産んだ人が何と怒鳴りちらしたのか記憶にはない。酷い言葉だったと思う。 父さんと過ごした時間が短いので、その時は悲しいよりなんだか怖かった。
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