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8章:第八章 (11/11)

中に入ると、初老のマスターが出迎えてくれた。



他に従業員はいない。



ボックス席は無く、カウンターが10席ほどの小さな店だ。



壁にも金魚が描かれ、どこか和の雰囲気を思わせる。



お絞りを受け取りメニューを開く。



「ルイは何を飲む?」



「僕、初めてだから分からないの。でも、せっかくだから三角のグラスで乾杯したいな〜」



ズキッ......!



頭が.....頭が痛い.....。



杏子さんと初めて『TORIPPU』に行った時、僕も同じ事を言ったっけ.... 。



「夢也、どうかしたの?」



「ああ、何でもない。そうだな、ルイはギムレットを飲んでみるといい」



「うん♪分かった♪」



「マスター、ギムレットを2つ。ジンとライムを1対1でお願いします」



「かしこまりました」



マスターが優雅で切れのあるシェイクをすると、ルイは目を輝かせてそれを見ていた。



あの時の僕がルイなんだ.....。



杏子さん、僕は.....。



僕はこの子が..........。



貴女が僕にチョーカーを付けさせた気持ち、今やっと分かった気がします..........。



2つのギムレットが出され、僕達は乾杯をして口に運んだ。



「わぁ!これ、美味しい!」



「だろ?」



それから、朝方まで取り留めのない話をし、すっかり酔ってしまったルイに肩を貸して僕は家に帰った。



ベルトと、シャツブラウスのボタンを緩めてベッドに寝かせてやる。



杏子さんはまるで白雪姫みたいだったけど、ルイはオーロラ姫みたいだ。



その薔薇色の唇にkissをしたら目覚めるのだろうか.....。



馬鹿な.....。



僕も些か酔ったみたいだ。



Tシャツと短パンに着替え、ルイの隣に横になる。



ルイは微かにライムの香りがした。



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ルイ ©著者:僚

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