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75章:真実
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75章:真実
彼は一切私の顔を見なかった。
タバコをふかしながら冷たいビー玉のような目線を床に向けていた。
私はため息をつくと決心した。
私『今、私が付き合ってるのはあなたが信頼する仲間、タカヒロです。』
すると亮は一瞬鼻で笑うと私の目の前にしゃがみこんだ。
まるで哀れな子供を見るかのような優しい表情をし私の顔を覗きこんだのだ…
亮『知ってたよ。何年お前と一緒にいたと思ってんだ。あいつもわかりやすいからな。タカヒロの考えている事くらいわかる。』
私『…。ごめんなさい…。』
亮『殺してやろうかと思ったよ。』
私の体中の血がサーっと引いていった。 彼がそんな言葉を発したのは初めてだった…
驚く私を見つめるとまた優しく微笑みそして真剣な眼差しを向けた。
亮『俺はあいつの上司だ。行動や言動、態度を見ればすぐにわかんだよ。俺に何か隠してるとな。やつはいい仕事するよ。出来る男だ。他に疚しい事があるとしたらお前しかいねーだろ。俺がわかんねーと思ったか?』
必死に唇を噛み締めこらえていた。しかしそれだけでは補えず冷たい涙が私の手に一滴こぼれ落ちた。
亮『美月…お前が決めた道だろ?何で泣いてんだよ!あいつに失礼だぞっ!お前は、自分で決めて選んだんだろ!!』
私『そうだよっ!!地獄に落とされて、怒りも悲しみもぶつける事も出来ずにもがき苦しんでんの救ってくれたのがタカヒロだったんだよ!!最低な女だって思ったよ!!でも!どうしようもなかったのっ!!亮が信頼してる男なのに!!私は好きになってしまったのっ!!』
大声を出し涙を流しながら感情を彼にぶつけたのは…あの時が初めてだったのかもしれない…。
亮はそんな私に微笑みかけ頭を撫でた。
亮『美月…。いい男見つけたな。それでいいんだよ。そうやって感情ぶつけんだ。いっつも我慢していっつも気使って…気丈に振る舞ってる。そんなんじゃ駄目なんだ。やっと吐き出してくれたな?』
怒る事すらしない。優しく悲しく微笑む亮を見た時…私はとても寂しい気持ちになった。
そして…昔の自分を思い出した…
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赤いカーテン ©著者:姫
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