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71章:血の気
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71章:血の気
場所を変えルアーをつけると再びキャスティングをしテトラポットの上から竿を投げていた。
冷たい空気が肌に突き刺す。
餌釣りをしていた彼らは再び何かを釣り上げたらしい。
マルの喜ぶ声が聞こえた。その瞬間だった…
ガツン!!
それは竿から伝わる当たりでは無かった。私は一瞬にし身動きが取れなくなった。
足元に目を向けるとテトラポットの間から伸びた細長い腕が私を掴んでいたのだ。
傷だらけになった青白い腕は徐々に私の足に伸び海へと引きずりこもうとしていた。
必死にもがき腕をどかそうとするが強い力にびくともしない。
テトラポットから伸びる腕は人の手というよりはマネキンの手のようだった。
ヤバい…。血の気が引いた思いをしていたその時…
『美月っ!!!』
後ろから駆け寄ってきたのはタカヒロだった。
彼の声が聞こえた瞬間にその腕はするするとテトラポットの中へと消えていった。
タカヒロ『お前一人でどっか行くんじゃねーよ!大丈夫かっ!?』
私『焦った…。』
タカヒロ『焦ったじゃねーよ!こっちこい!』
タカヒロにつれられ上に上がると私の足には爪が食い込んだあとがついていた。
タカヒロ『この辺は死人が沢山出てるんだ。絶対一人で行動すんな。』
私『ごめん…』
釣り人の集まる場所は危険な所もある。波に襲われテトラポットの間に落ちれば再び襲われた波により頭を打ちつけ苦しみながら亡くなる人も少なくない。
私の足を掴んだ者もそういった無念な思いを残した人なのかもしれない。
あの時、もしタカヒロが来てくれなかったら私は海に引きずりこまれていたかもしれない。そう思うとゾッとする…
仲間の元に戻ると彼らは既に3匹の獲物を釣り上げていた。
タカヒロ『俺らはそろそろ帰るよ。』
ユーヤ『もう帰るの?』
タカヒロ『こいつ猫かってんだ。今ごろ帰り待ってっからよ!』
マッチ『猫かよっ!』
ユッキー『刺身食わないの??』
タカヒロ『お前らで食ってくれ。また来るからよっ!』
私は先程かりた毛布をたたみ運転席で漫画本を読むシンさんに手渡した。
私『これ、ありがとう御座います。』
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赤いカーテン ©著者:姫
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