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63章:懐かしき声
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63章:懐かしき声
あれから私たちは作業を進め、私は夕方会社に用事があった為にタカヒロはそのまま帰宅する事となった。
2人で家を出ると彼は少し寂しそうにしていた…。
タカヒロ『また、来ていいか?』
私『そうだね。また釣り行こ?』
タカヒロ『そうだな。気をつけて会社行けよ?』
私『大丈夫。すぐ近くだから。タカヒロも気をつけて!!じゃ…』
タカヒロ『じゃぁ…』
彼が車のエンジンをかけると低いマフラーの音が外庭に鳴り響いた。
私も自分の車に乗り込み彼に手を振る。
タカヒロは恥ずかしそうにはにかみながら手をあげ帰って行った…。
会社へ行き、社長に終わらせた仕事を手渡すと新しい仕事を受け取り自宅へ戻った。
日が沈みかけている部屋は薄暗く、電気をつけると静かな空間が広がっている…
早々に入浴と食事を済ませリビングに戻るとパソコンを開いた。
先程まで一緒だったタカヒロはいない寂しさがこみ上げてくる…
私はふと亮を想った…。
あれからろくに会話もしていない。
私は携帯を手に取りアドレス帳を開いた。
心の中にあるくもりを取り除くをする為だ…。
【亮、元気?】
私は彼にメールを送った。
すると直ぐに電話がかかってきたのだ。
あの日以来初めて聞く事になる彼の声…私は息をのみ通話ボタンを押した…
私【もしもし…】
亮【美月、久しぶりだな。】
私【そうだね。】
亮【元気だったか?】
私【何とか、一人で頑張ってるよ。亮は?】
亮【俺もなんとか、生活してるよ。】
私【ご飯ちゃんと作ってるの?外食ばっかしてない?】
亮【お前は何時も俺の事ばっかだな…】
私【心配なんだもん…】
亮【なぁ美月、俺ももう大人だ。大丈夫だから。自分の幸せ考えろ。沢山恋愛して沢山今まで俺が縛り付けて出来なかった事しろ。いつかイイ男になったら、必ずお前を迎えに行く。その時、もしお前が結婚してたら諦めるよ。 俺はお前に依存しすぎた。それは自分が未熟だからだって気付いたんだ。離れて失って自分の無力さと虚しさに気付いた。今まで辛い日もつまずいた日もお前がいたから頑張ってこれたんだ。俺の実績じゃない。自立して立派な男になるまで、お前は自由だ。】
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赤いカーテン ©著者:姫
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