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52章:初心
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52章:初心
その日の夜…私が夕飯を作っているとガチャっと玄関の開く音がした。
亮『ただいま。』
私『お帰り。早かったね。』
キッチンに立つ私の後ろから抱きついてくる亮…見かけによらず彼はかなりの甘えん坊になってしまったようだ…
私『危ないよ。』
包丁を握る私の手を止めると私を正面に向かせる。
顔をのぞいているのだ…
彼は私の全てを知っている。
私の目が腫れているのを確認すると優しく抱き締めた…
亮は今日一日どんな想いで仕事をしていたのだろうか…
私『ご飯作らないと…』
亮『たまには一緒にお風呂入ろうか。』
私『やだよ恥ずかしい。』
亮『いいから。』
バスルームに向かうと私のエプロンを脱がせ服を優しく剥ぎ取る。今日は何時もより優しく甘い口調だ…
亮『ネクタイとって?』
私『本当に入るの?私もうお風呂入ったんだけど…』
亮『背中流して。』
あの家で一緒に入浴するのは久しぶりだった。
彼は何時も帰宅が遅い為私は先に入ってしまうからだ。
久しぶりに彼の背中を流し一緒に湯船につかる。
彼は後ろから私を抱きしめていた…
私『のぼせそう…』
亮『もう出るの?』
私『頭クラクラしてきた。出よ?』
バスタオルで体をふいている私を亮はいきなり抱き上げベットに運んだ。
私『ちょっと待って!ご飯作らないと…』
亮『飯より俺優先!』
首もとにキスをし体中をなめまわすとバスタオルを脱がせ舐め回すように私の体を見つめた。
私『やめてよ…見ないで。』
亮『綺麗だな…この足…たまんない。』
彼はしばらく私を愛撫しつづけ愛おしい目で見つめた。
こんなにも私を優しく抱いたのはいつぶりだろうか…
初心のころを思い出した…
私は裸のまま彼の腕枕の中にいた。
天井を見つめながらゆっくりとした時間を過ごしていた…
亮『お前の生きる道までは俺には決められない。だから束縛しないようにしてたんだけどな…逆に縛り付けてたのかもな…』
私『ごめんね。』
亮『お前が謝る事ないだろ。』
その時…亮のお腹がグルグルと鳴っている音を聞いて私たちは笑ってしまった。
亮『ムードねーな…』
私『お腹すいたね。作るよ。』
しかし…私たちが過ごしたあの甘い一時はそう長くは続かなかった。
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赤いカーテン ©著者:姫
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