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21章:気配
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21章:気配
ザーーーー!!
私の背後で聞こえたその音はシャワーの水が出ている音だった。
やっぱり…こんな山奥の古いホテルで何もないわけがない…
そして…
ギギギ… ギギギ…
木の軋む音とともに何かの気配がする。 ベットの周りを行ったり来たりしているのだ。
私は怖くて目を閉じたままひたすらそれが止むのを待った…
するとパッとシャワーの音は消え、床の軋みも消えた。
亮が寝返りをうち私の顔をうっすらと開けた目で見つめた。
亮『美月?どうした!?』
涙目で震える私に気付き、ぎゅーっと抱き締めると大丈夫、大丈夫だよと優しく髪を撫でる彼に私は涙がとまらなくなった。
亮『大丈夫か?』
私『うん…』
亮『何かみた?』
私『見てない。』
亮『聞こえた?』
私『うん…』
亮『今は?』
私『聞こえない。』
亮は私の涙を指で拭うとニコッと笑って見せた。
そして優しくキスをし私の感じる所全てを知る彼は首筋に顔をうずめイヤらしく私の体を撫で回した。
恐怖から解放された私は安堵感と快楽に溺れた。
大丈夫だよと優しく囁く彼の言葉だけで絶頂をむかえそうだった…
その時…
ガタガタガタガタガタガタガタガタ!!
そこら中の棚から引き出しからベットまで音をたてながら揺れはじめたのだ!
『キャー!!もう無理っ!!』
私たちは急いで荷物をまとめてそのホテルを出た。
入り口を開けた瞬間ピタッと揺れはおさまったがあれは決して地震とかでは無く、部分的に家具が揺れているだけだった。
その後、親方の説得は成功し私たちと下方さんはたまに飲みに行く関係にまでなった。 コンビニのお爺ちゃんには感謝をするがあのホテルだけは人には勧めてはいけないなと亮は苦笑していた。
とにかく、本気で死ぬかと思った体験だった。
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赤いカーテン ©著者:姫
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