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8章:静養
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そして私たちは山をおりた。磐梯山のふもとを進み買い物をしてまわった後今夜の宿泊先を探すことになった。
急遽決まったこの旅行。旅館やホテルはほとんど満室で、私たちは夕食をすませた後しかたなく市街地に向かいラブホテルで休むことにした。
何件かあるうちの比較的新しい建物を選び私たちはそこを選んだ。
しかし新しいからと言って何もないわけでもないのだ。
呼ばれてるという言葉がある。
わざわざそういう場所を自ら選んでしまう。向こう側の人が無念を晴らす為にそういった力のある者を呼び寄せるのだ。
私もそうさせられてしまっていたのだろうか…
そのホテルは個室になっていて車をとめると隣にある一戸建ての玄関をあけてすぐに入室出来るようになっていた。
部屋はとても広く綺麗だった…。
彼は鍵をテーブルに置くとソファーにもたれかかり溜め息をついていた。
早朝からの運転に疲れたのだろう。
私は初めて泊まる場所で必ず行う行為、それはバスルームからトイレ、洗面台から全ての電気をつけチェックするのだ。不信感はないか、違和感は感じないか確認しなければ寛ぐことなんて出来ない。
亮『お嬢さん、チェック完了しましたか?』
そんな私の行動にももうなれていた彼は軽くふざけたようすで質問してきた。
私は彼には何も答えずある一角を見て硬直した…
それはベッドのある部屋にある違和感だった。
その部屋の角にあたる場所…ベッドの足元のほうにある壁の角にベニヤイタがはられていた。そこだけ壁紙も別の物がはられている。
そのベニヤイタは天井までふさいでいるわけではなく、ベッドに登り覗き込めばその空間を覗き見ることが出来る高さだった…
しかし私はそうするべきではないと判断した。
そのベニヤイタにふさがれた三角の空間の中に何があるのだろう…
コンコン…
とノックをしてみたが中は空洞のようだった。
長方形の部屋の一角のすみっこにはられたベニヤイタの壁が気になって仕方なかった。
しかし今から部屋を変えようと言い出すのも疲れた彼を思うと言い出せなかった。だから私は何も言わず彼のもとに向かった。
亮『なんかあった?』
私『なんにも。』
亮『部屋変えてもらうか?』
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赤いカーテン ©著者:姫
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