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3章:地獄 (1/3)

3章:地獄

やっと頭が冴えた私の目に飛び込んできたのは地獄絵図だった。そこは都内からは離れた○○県某所にある有名心霊スポットらしく…

目の前には車のライトに照らされた建物が見えた。
4階建てくらいだろうか…
コンクリートは古く黒ずんでいて窓ガラスは割れて中から赤いカーテンが風でヒラヒラと舞っていた…

私『馬鹿じゃないの?絶対無理!離れよう!ありえない!』

直美『なんで〜?いいぢゃん夏なんだし。』

タケ『だから辞めようって言ったんだぞ〜?美月はお前みたいにタフじゃね〜の!』

直美『なにそれ〜!いいぢゃん夏だしいこっ!』

私『無理。私は絶対行かない。』

亮は何も言わず真剣な顔で私を見ていた。だだをこねる直美に嫌気がさしたのか、亮が少し強い口調で口を出した。

亮『お前ら行ってこいよ。女一人残すことは出来ない。俺らはここにいっから。』

直美にはそのほうが好都合だったのだろう。呆れて放った亮の言葉に気付きもせず頷いた。

直美『タケいこっ!ちょっとだけっ!』

タケ『しょうがねぇなぁ…悪い。すぐもどっから。美月大丈夫か?』

直美『大丈夫だよ亮もいるんだからっ!いこっ!』

すると2人はスタスタとその建物に向かい歩きだした。
もう何年も放置されたその建物はラブホテルのようだった。
真夏だというのに私だけだろうか…凍えるほど寒かった。

少し離れた場所に停めた車の中で2人を待つ。 急なことで状況が掴めず困惑していた私と亮を残し、笑顔で直美はタケと手をつなぎ建物の中へと消えて行った…

亮は少し機嫌が悪そうにしていて何もしゃべらず外を睨んだまま沈黙が続いていた…

亮『わがままな子だな…あの子。』

そして返事の無い私に目線を送ると亮は一気に表情を変えた。

私は鳥肌が止まらずガタガタと震えていたからだ…

亮『お前…どうした?大丈夫か?』

私『大丈夫。大丈夫だよ。それより直美たち呼び戻して…ここにいたらダメ。』

亮『お前震えてんぞ?寒いのか?具合悪いのか?』

私の背中をさすりながら困った表情で心配する亮…
私は冷静を保ちながら深呼吸をし建物に目を移した瞬間…

一気に空気が硬直した。

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赤いカーテン ©著者:姫

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