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12章:一筋の光
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12章:一筋の光
オヤジの手が私の下半身に移ろうとした時だった…駐車場に止まっていた車のエンジンがかかりライトが私達を照らした
車の中から一人の男が出てきて…オヤジを私から離すと一発二発とオヤジを殴りオヤジは足早に立ち去った
私は事の状況が飲め込めずにいた…男は私を起こし
『お前…そんな格好で出歩いとったら犯して下さいって言ってるもんやぞ』
『あんたに何がわかるの?…勝手なこと言わないでよ』
溢れる涙…男は黙ってそっと上着を私にかけてくれた
『何があったか知らんけど家まで送ってやるから』
私は内心…こいつもさっきのオヤジと一緒だと思いながら男の車まで歩いた
助手席からとってもキレイな女性が降りてきた
『大丈夫?…服からすると女子高生?ケンカでもしてきたの?』
『…ありませんから…あなた達には関係ありませんから…』
『そうよね…いろいろ聞いてごめんなさい』
女性は私の頬に手を当て涙を拭いた
男は車を走らせ程なく私の家の近くに着いた
『あの…さっきはすみませんでした…せっかく助けて頂いたのに失礼なこと言って…上着…クリーニングしてお返しします』
『気にせんでええよ…困った時はお互いさまや…名前聞いてもええか?』
『みかん』
『みか?』
『違います…みかん』
『みかん…って果物の?こりゃ笑えるわ』
『笑わないで下さい…』
『笑って悪かったな…俺はマサキ…っでこいつがサヤカ…これも何かの縁や…俺らの番号教えといてやるさかい何かあったらかけてきぃ…』
そう言って名刺をもらった…これがマサキとミサキとの初めての出逢いだった…何故か…私は今までの事…苦しい胸の内を全部吐き出した…その間二人はただ黙って私の話を聞いてくれた
『みかんちゃん…今度うちのマンションに遊びにおいで』
『そうや…ミサキは料理上手いから美味しいもん食べさせてくれるで…みかん…変なこと考えんと元気出さなあかんで』
『ありがとうございます』
ほんの少し私の心に一筋の光が射した
後に…この二人が私の生き方を大きく変えてくれる事になることを…この時の私には知る由も無かった
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雌の本性 ©著者:みかん
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