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76章:雨が降る①
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76章:雨が降る①
都会から離れた片田舎。
母方の実家のあるこの町(村と言うと、母は不機嫌になる)に、私は祖父の法事ということで久しぶりに帰ってきた。
最寄りの駅で降り、バスに揺られること約20分。
駅の周辺はまだ拓けているけれど、そこから離れていくにつれてお店の数は減り、田畑が広がってくる。
点々と建っている家は、ほとんどが平屋。
正に田園風景。
これを「村」と言わずして――なんて思っているうちに、バスは目的地に着く。
ベンチがポツンと1つ置いてあるだけのバス停。
唯一の乗客であった私を降ろし、ガタゴトと走り去っていくバスを見送ってから、私はあぜ道を歩いていく。
秋の夕暮れ時。
稲刈りの終わった田んぼに、赤とんぼ。
何だかしみじみとしてしまう。
小中学生の頃は夏休みになると毎年遊びに来ていたけれど、その頃と比べてもここは今もまったく変わっていない。
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赤緑シリーズ ©著者:hare
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