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72章:激流②
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72章:激流②
佳澄のことだって、そうだ。
きっと、この世界で「生きていた彼女」の事を一番良く知っているのは、私。
次に、古乃羽かな?そういう記憶力じゃ、負けないんだから。
では…彼は?彼のことは?
副会長「では、こちらに」
副会長さんがそう言って、私を部屋の中央――壷が置いてあるところまで連れていく。
背中に手を添えて…まるで、もう逃がさないとでも言いたげに。
でも、そんなことはどうでもいい。私は、もっと考えないといけない。
私…私は――
…彼のことを知らない。
何でなの…?
付き合っていたのに。
彼のこと、あんなに好きだったのに。
何で、もっと…彼のことを知ろうとしなかったのだろう。
彼が生きているうちに、何でそれができなかったのだろう…。
…あぁ、だから、なんだ。
やっと分かった。
だから私は、こんなにも彼に会いたのね。
彼のことを、知りたいからなのね?
…でもそれって、なんて――ひどい話なの?
そんなの、生きている人間のエゴじゃない――
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