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59章:訪問者
彼と会ったのは、6年前。
私が入会してから、2年経ったときのことだった。
会長の”お気に入り”だった私は、他の会員とは異なり、滅多に本部に来ることも無く、会長の下であらゆる事を学んでいた。
入会してから2年間もそんな状態だったので、会長と私の間には色々な噂が流れ、たまに本部に行くと、私は常に好奇の目で見られていた。
そんな時、広報の仕事を学ぶため、当時は課長であった汐崎祐一と出会った。
彼はその時37歳。こちらは22歳という若さ。
私は決して惚れやすい性格でもなければ、年上好きという自覚もなかったけれど…一目で彼を好きになってしまった。
その気持ちは、その後、彼が奥さんと死別していること、一人娘がいることを知っても変わらなかった。
でも…その想いを表に出すことはしなかった。
理由は色々とあるけれど、私の立場と年齢差を考えただけでも、到底、口には出せなかった。
本部長になってからは、完全に”上司”として彼に接した。
プレッシャーに負けないように常に気を張っているけど、彼に対しては特に意識をして、そうしている。
己の武器を前面に出し、上からものを言っていると…”背伸び”をしていると、彼との年齢差が縮まるような錯覚もあったから…。
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赤緑シリーズ ©著者:hare
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