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55章:扉(後)②
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55章:扉(後)②
情に訴えるというのも何だか…だけど、なりふり構っていられない。
それに、高城さんなら分かってくれる…何となく、そんな気持ちもあった。
私は、お父さんのことを話す。
ずっと働き通しで、1人で苦労してきたお父さん。
そんなお父さんに、私がしてあげたいこと。
これからのこと。将来のこと。私の幸せを、一番喜んでくれるお父さんのために――
私「――分かってください…」
高城「…」
私「お願いします…!」
私は扉に向かって頭を下げる。
しかし…
高城「…無理よ」
返ってきた返事は、無情なものだった。
私「そんな…」
高城「もう無理なのよ、真奈美ちゃん。連れて行かれる事は、諦めなさい」
私「…イヤ」
高城「聞き分けなさい。もう――」
私「イヤです!」
私はそう叫ぶと、ドアノブを掴み、思いっきり扉を開け放った。
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