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10章:運命の出会い (2/6)

その後、私は冬月と再婚をして“Persona”を辞め、専業主婦になった。


冬月の言う通り、女手一つで育てていくのは無理がある。


とは言え、今更絶縁状態の母に頼る気はない。


大家夫婦にいつまでも頼り続けるわけにもいかなかったのだ。


こんなに安易に再婚するなんて浅はかなのはわかっていた。


これは私にとっての一か八かの賭けだったのだ。


そして私は賭けに勝利した。


『幸一郎の良き母である事。それさえ守れば好きにして構わない』


冬月は言葉通り、家事と幸一郎の良き母で居る事を怠らなければ何も言わなかった。


もっとも多忙でほとんど家に居る事がなく、再婚当初は夫婦になった実感すら湧かなかった。


それでもたまの休みには家族サービスを忘れない冬月。


有り余る富、今までとは比べものにならないくらいの立派な家、それは快適以外の何物でもなかった。


冬月と再婚して本当に良かったと思った。


冬月は幸一郎を本当に大切にし、我が子のように扱ってくれた。


幸一郎も次第に冬月に心を開き、また以前のような明るい表情を見せるようになってきていた。


何不自由のない生活。


ただ私には人には言えない悩みがあった。


私は未だかつて人を愛した事がなかったのだ。

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雲路の果て ©著者:ゆえ

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