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8章:惨劇の夜 (6/6)

相馬が怯んだ今が絶好のチャンス。


「コウ!逃げるのよ!!」


私の上でぐったりとしている幸一郎の身体を揺さぶり起こし、玄関に走った。


二人とも靴もはかない状態で外に飛び出した。


もう少し…もう少しで!!


階段に向かおうとした瞬間、繋いでいた幸一郎の手が急に離れた。


「コウっ?!」


振り返ると幸一郎は通路の床に倒れていて、その前には相馬が立ちはだかっていた。


「美優…俺から逃げるのか?…そのデブと一緒に!!」


相馬は目を血走らせながらそう怒鳴ると、再び私の頬を平手打ちした。


よろめき階段手前の手摺に捕まった。


すると相馬は歩み寄り、さらに数回平手打ちを繰り返した。


「アンタは俺だけのものなんだよ!」


止まる事のない暴力や暴言、それはもう半永久的に続くのかもしれない。


薄れゆく意識の中でそう思った。


私はどうなっても構わない…


ただ…幸一郎だけは助けて…


そう思った瞬間、相馬の手が私から離れた。


全てがスローモーションだった。


相馬の身体は大きく仰け反り、そのまま階段から落ちていったのだ。


階段を転げ落ちるけたたましい音が響き渡ったのちに静寂が訪れた。


目の前には幸一郎は両手を前に突き出して立っている。


状況が理解出来ずにただ呆然とした。


「…ママをいじめるな」


幸一郎は今までに見せた事のないような鋭い目付きで階段のほうを睨んでいた。


何て事だ…


幸一郎が相馬を階段から突き落としたのだ。


恐る恐る階段下を覗き込むと、相馬の姿があった。


全身を痙攣させ、鼻から血を流し、白目を剥いて倒れている。


「こいつぁ大変だ!!」


後ろから隣の家の男性が声を荒けた。


ただならぬ気配に様子を見にきたのだろう。


「今、救急車を呼ぶからな!!」


男性はそう言うと部屋に駆けていった。


「コウ…」


震える手で幸一郎を抱き締めた。


幸一郎はそれに応える事はなく、その場から相馬をさめた目で眺めていた。


まるでゴミを見るような目付きで。

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雲路の果て ©著者:ゆえ

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