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6章:バレンタイン
藤原君がおかしいと言うより、
俺のまわり全てがおかしいんじゃないかと思い始めたのは一か月前のこと。
いわゆるバレンタインというやつだが、残念なことに頬を赤らめてチョコレートを渡してくれるような女の子は俺の前には一向に現れず、クラスメートの女子たちが
板チョコやチロルチョコをくれるだけだった。空しすぎて死にたかった。
しかも友人の藤原君はいかにも怪しい見た目なのに意外とモテるらしく、下級生の女の子や違うクラスの女子からいくつか手作りチョコをもらっていた。
これより悔しいことなんかそうそうないと思う。
甘党な藤原君はチョコレートを有り難くリュックに仕舞い込み、時折授業中にコッソリ食べていた。
羨ましい。死ねばいい。
そんな悪夢のバレンタインデーの終わりがけ、授業を終えた俺たちは帰り道を歩いていたのだが、そのときに更なる悪夢が起きた。
彼女であるヒロミちゃんにチョコが貰えなくてブツブツ言う藤原君にちょっぴりざまあみろとか思っていた俺の前に、突然女の子が走ってきた。
即座に俺のセンサーが反応した。待ちに待ったチョコレートだ!!!実際女の子は赤い紙袋を持っていた。
見たことはなかったが、
ショートカットの可愛い女の子だった。
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