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1章:藤原君
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1章:藤原君
クラスメイトの藤原君はどうもおかしい。
と気付いたのは、半年前くらいに、たまたま席替えで隣りの席になったときのことだった。
どのクラスにもひとりはいる、地味で無口でネクラっぽいのに何故か意外と友達が多い奴、ってのが藤原君なのだが、俺はあまり話したことはなかったし、隣り同士になっても微妙に気まずかった。
だが藤原君は特に気まずそうな様子も見せず、ひたすら机に消しゴムをかけていた。
内心「何してんだろ」と思ったが、消しゴムが千切れるまで机を消している藤原君の真剣さに圧倒され、何も聞けなかった。
しばらくして授業が始まったが、俺は藤原君の行動が気になってチラチラ見ていた。
藤原君は山盛りになった消しゴムのカスを机の四隅に均等に盛り始めた。ますます意味がわからない。
俺はついに小声で藤原くんに尋ねた。
「藤原君、何してんの」
藤原くんの長い前髪から、にんまり弧を描いた目が見えた。
「即席の結界。キミは多分、うっすらとなら見えるんじゃない?」
と言うと、藤原君は目線を廊下に向けた。俺も廊下に目線をやる。
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藤原君 ©著者:hare
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