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8章:本編3①
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8章:本編3①
目が覚めたのは朝の九時過ぎだった。
まだ頭が重く、肌触りの良い布団から出るのは億劫だったがなんとか気合を入れて起き上がった。
三時間ほど寝ていたらしい。
広い部屋の真ん中に布団が一組だけ敷いてあるのを改めて眺めると、凄く贅沢な気分になる。大きな窓のカーテン越しに朝の光が部屋の中に射し込んでいる。
浴衣の襟のあたりを掻きながらそちらにぼうっと目をやる。
それから自分の身体の様子を確かめたが、特に異常はないようだ。
あの謎の薬が効いたのだろうか。
部屋を出て師匠を探すと、一階の玄関ロビーでOL四人組と話をしていた。
見るとみんな荷物を持っている。もうチェックアウトするところらしい。
「結局オバケ出なかったなあ」
「なにつまらなそうに言ってんのよ。一番ビビッてたくせに」
「ああもう。変な噂聞かなきゃ良かった! あんま寝られなかったわ」
「でもさ、ちょっと見てみたくなかった?」
OLたちは朝から元気に声が出ている。
師匠は笑ってそれを聴いているだけだ。
「じゃあねえ。年下の彼氏くんも、バイバイ」
そんなことを言いながら彼女たちは僕らに手を振って、外にとまっていた旅館のバンに乗り込んでいった。
旅館の中が急に静かになった。
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