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4章:本編1⑤
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すると、
前を行く二人としばらく談笑しながら歩いていた師匠が、こっそりとした手の動きで合図をしてきた。
顔を近づけた僕の耳元に素早く口を寄せ、
「地滑りの跡に埋もれた石の表面に、こんな模様があった」と囁いた。
そして僕の手を握り、手のひらに指でなにか文字のようなものを書いた。
「え?」
と怪訝な顔をした僕に、
師匠は
「面白くなってきた」ともう一度囁いて、
前を行く二人を早足で追いかけていった。
なんだろう。
この字は。
僕は手のひらに残る文字の感触をじっと記憶に刻みながら、そして同時に記憶を呼び覚まそうとする。
漢字だ。
雨冠は分かる。
その下に、丸……いや、口がみっつ。横に並んでいる。
そしてさらにその下に、なにか複雑な字が続いている。
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