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4章:本編1⑤
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龍という字だろうか。
あるいは能力の能という字か。
いずれにしても、
そんな漢字があるのだろうか。物凄く画数が多い。
しかし全体のバランスからして、一つの字としか思えない。
なんだ、この文字は。
僕は自分が足を止めていることに気づく。
前を行く師匠の背中に視線を向けたまま、手のひらに刻まれた文字の感触に身震いする。
なんだ、これは。
そんなことを口の中で繰り返しながら、僕は冬枯れの山道に立ち尽くし、
じわじわとその文字に沿って自分の血が流れ出て行くような、得体の知れない悪寒に包まれていた。
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